トラムトレイン

「トラムトレイン」とは、トラム(路面電車)とトレイン(列車)が直通するという意味で、日本語では「鉄軌直通」(鉄=鉄道、軌=軌道)という言い方もあります。

 

LRTや路面電車は、通常路面上や専用走行空間に設置されたレールの上を走りますが、レールの規格が一緒であれば、JRや私鉄の鉄道区間にも乗り入れることができます(ただし、ホームの高さや電気の種類などの調整は必要です)。

LRTの車両や路面電車がJRや私鉄のような鉄道区間にも乗り入れることにより、郊外から街の中心部まで、乗り換えなしで行き来する列車を走らせることができるようになり、便利になります。

 

トラムトレインは、1980年代の西ドイツ(当時)で、旧来の路面電車を新時代の公共交通システムとしてグレードアップする改革の一つとして導入が始まりました。

路面電車の車体を大型化(編成を長く)して、鉄道路線に乗り入れる形態が多く、鉄道区間では時速80~100kmの高速運転を行います。

この方式は、ドイツのカールスルーエが積極的に導入して成功したため、「カールスエルーエモデル」として有名です。

 

日本でいえば、「湘南新宿ライン」や「副都心線」のような複数路線の乗り入れのようなネットワークを、路面電車と鉄道の柔軟な組み合わせで、比較的安価に、地方都市でも実現した好例です。

宇都宮周辺でいえば、東西基幹交通として導入するLRTの延伸が実現して、真岡鐵道やJR日光線、東武宇都宮線などへの直通運転を行うことで、トラムトレインの運行が実現できます。

 

日本では、かつて岐阜周辺で名古屋鉄道(名鉄)が鉄軌直通を行っていましたが、岐阜市内の路面電車が廃止されてしまい、現在は運行されていません。

広島電鉄では、市内の軌道線と、宮島に向かう宮島線を直通する系統がトラムトレインの一つといえます。