6月10日は「路面電車の日」 都市交通の担い手として各地でLRTの整備が進む

6月10日は「路面電車の日」でした。

詳しくはこちら→ tenki.jp 2015年6月10日掲載

6月10日は「路面電車の日」でした。http://www.tenki.jp/suppl/romisan/2015/06/10/3821.htmlかつてチンチン電車と呼ばれていた路面電車は、地下鉄の整備やモータリゼーションの進行などによ...

Posted by 雷都レールとちぎ on 2015年6月11日

かつてチンチン電車と呼ばれていた路面電車は、地下鉄の整備やモータリゼーションの進行などによって、廃止される例が相次ぎました。
しかし、過度なマイカー依存になると、交通渋滞や排ガス問題が深刻化して大きな社会問題になりました。
また、マイカー利用前提のライフスタイルに合わせて都市が郊外に拡散した結果、中心市街地が空洞化するという問題と、拡散した都市を維持するための都市運営コストが増大し続けるという問題が発生するなど、さまざまな弊害が明らかになっていきました。

これらの弊害を改善するには、都市機能を集約すること(コンパクトシティ化)と、公共交通ネットワークを充実させてマイカー利用を抑制することが重要です。

日本よりも早くモータリゼーションが進行したヨーロッパ諸国では、まず1960年代にドイツやオランダなどで路面電車の近代化や輸送力増強、利便性向上を実現。有効な都市交通機関として再生を果たしたと共に、中心市街地の活性化に役立てました。
1992年、ドイツのカールスルーエでは、市内の路面電車と郊外の鉄道路線を直通運転する「トラムトレイン」の運行をスタート。公共交通の利便性が大幅に高まりました。

フランスでは、自動車優先の交通政策を進めた結果、全国にあった路面電車はほとんど全廃されたのですが、都市の拡散、渋滞の深刻化などが社会問題となりました。
1985年にナントで最初のLRT(軽量軌道交通)を導入して、都市の再生に乗り出しました。以降、ストラスブールなど、全国各都市でLRT導入が相次いで行われているほか、路線バスを高度化してLRT並みの運行システムとインフラを備えたBRT(BHNS)の整備も行われています。

典型的なクルマ社会だった北アメリカでは、ドイツやオランダの路面電車が近代化・高度化して都市交通のあり方を変革していった事例を踏まえて、1978年にカナダ・エドモントン、1981年にカナダ・カルガリーとアメリカ・サンディエゴでLRTが開業しました。1980年には、旧来の路面電車を地下化・近代化する形で、サンフランシスコにもLRTが開業しています。

決定的だったのは、公共交通を活用したコンパクトで持続可能なまちづくりを目指して、1986年にLRT「MAX」を開業したアメリカ・ポートランドの取り組みです。

「MAX」は新たな高速道路建設を取りやめて、その資金を転用して整備されました。「MAX」と路線バスは一体運営されていて、LRT開業に伴って路線バスの利用者は増加に転じています。


旧来からの路面電車が持っている良さを受け継ぎつつ、新しい技術やシステムを採り入れて、次世代の路面電車とも呼ばれるLRT。

階段を上り下りしなくても良い点、自動車より効率的に大勢の乗客を輸送できる点、排気ガスを出さない点、街のシンボルになる点、地下鉄やモノレールなどより建設費が低廉な点、郊外の鉄道路線に直通運転すると利便性が格段に向上する点など、多くの点が評価されています。