富山県の「万葉線」でバッテリーLRV「ハイ!トラム」の試験運行が始まる

富山県高岡市と射水市を結ぶ路面電車「万葉線」で、ハイブリッド電車「ハイ!トラム」の試験運行が7月11日深夜から12日早朝にかけて行われました。
詳しくはこちら→ 北國新聞 2014年7月13日報道

「ハイ!トラム(Hi-tram)」こと「LH02形」(http://www.rtri.or.jp/rd/division/rd42/rd4210/rd42100102.html)は、鉄道総合技術研究所(鉄道総研)と民間企業が共同開発した大容量バッテリーを搭載するハイブリッドLRVです。

客室部分は低床化していますが、速度性能を重視して車軸がある車輪を使用するため、運転席直下の台車部分は低床構造にせず、部分低床車としています。
このため、路面電車として運行することはもちろん、鉄道路線でも最高80km/hで運行できる性能を持ち、既存の鉄道(都市間鉄道)と都市内軌道(路面電車)との相互直通運転(トラムトレイン運行)にも対応しています。
また、直流1,500V区間、直流600V区間、非電化区間の走行に対応しています(1回フル充電すると、バッテリーの電力だけで約30km走行できます)。

2007年11月~2008年3月にかけて、札幌市交通局(札幌市電)で厳冬期における耐久性や、回生発電・蓄電による省エネ効果などを検証する試験運転を実施。
2009年11月には、JR四国の電化路線での試験走行と、非電化路線でのバッテリー運転を実施して、80km/h走行を実施する際の車両の安定性や、バッテリー運転時の持久性などを検証しています。

万葉線では、今後も引き続き試運転を重ねた後、7月22日~8月13日の14日間、計18回の試乗会を開催します。

「ハイ!トラム」のようなハイブリッド車両が問題なく運行できることが分かれば、延伸する全区間に電化工事を行わなくても良いため、工事費を軽減できる可能性もあります。
また、新規にLRT整備を行う際、中心市街地では電停(停留所)以外の区間は電化せずに(架線を張らずに)バッテリーの電力で走行したり、電圧が異なる市内の軌道線と郊外の鉄道線を相互直通運転するなど、柔軟な運用が可能になります。